あなたに逢うために

恋多き親友

　私だってみっちゃんの事を嫌いじゃない。嫌だったら親友になんてなっていない。
　だけど彼女の『恋多き部分』だけは好きになれない。
　あまりに軽はずみなことをする時には注意するけど、彼女はへらっと流してしまう。そこだけは彼女に対してイライラする。

「聖良(せいら)もさ、彼氏作んなよ。で、ダブルデートしよ」
「えぇー……私はいいよ」
「なんでぇ？恋こそ青春でしょー。聖良だって可愛いんだから、もったいないよ」
「そう言われてもね」

　実際みっちゃんのお節介で、何回か男の子を紹介されたことがある。大体は軽いタイプの子だったから速攻でお断り入れたけど、中には感じのいい人もいた。
　でも、心に響かない。

『恋心なんて付き合ったら段々情が芽生えたりするんだよ～』
　ってみっちゃんは言うけれど、私はその言葉に頷けなかった。そもそもみっちゃん、そう言いながら情が芽生える前に別れてばっかじゃん。

　私だって、恋したい気持ちはある。というか、恋心はすでにある。
　胸の奥に、燃え盛るように恋焦がれているものがある。
　それが『誰』なのかは、わからない。
　わからないけど、私は探している。
　この胸の奥で鍵をかけてしまっている、恋心の相手を。