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「……わかった。どうしてほしいの?」
「生き返らせて。今すぐに。彼のもとに行かせて」
私の言葉にサイテーな神は首を横に振る。
「残念だけどそれは出来ないよ。君の肉体はもうないんだ。戻ることは出来ない」
「そんな……」
彼に会いたい。彼と一緒に生きたい。ただそれだけなのに。
「……やっぱりあんたのせいだーーーーーっっ!!」
怒りが収まらなくて、もう一回襟元をつかみ上げて蹴りを入れてやろうとしたけど、スルッと神殿の柱の後ろに隠れやがった。
本当に最低なやつ。
「ご、ごめんって……あ!じゃあこういうのはどお?」
名案ひらめいたみたいに奴が言う。
「どういうのよ」
「転生だよ」
——転生?
「今の世じゃなくて、この先の未来に生まれ変わるんだ。まぁ、生まれ変わったからといって、必ずその最愛の彼と巡り合えるかはわからないけど。可能性はなくはないよ。僕のせめてもの償いとして、彼が今世を全うしたら君と同じ世界に転生させるからさ」
「……本当?」
「あ、あれ?そんな簡単に乗っちゃうの?もっと疑うかと思ったのに」
「だって、どう足掻いたって今世では戻れないんでしょ?だったら賭けるしかないじゃない!」
ほんの少しでも可能性があるのなら。
私はもう一度、彼に出逢える可能性に賭ける。
「そ。じゃあそうしよう。君の魂はそれまで眠らせておくよ。なにせこのままにしておくと、いつか僕が呪い殺されそうだ」
そうしてやりたいけど、そんなことしたって何もならない。
こいつが死んだって、私が生き返れるわけじゃないんだから。
「これは僕からのせめてもの償いだよ。この先、君がどんな人生を歩んで、誰と出逢う事が出来るのか。それは、君の運次第。幸運を祈るよ」
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