夢の記憶

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 まただ。  朝起きると、何故か涙が頬を濡らしている。  夢を見ているんだろうけど、それが何の夢かわからない。  はじめて夢で泣いたのは何歳だっただろうか?  小学生にはなっていた気がする。でも夢の内容は全く覚えてなくて。  ただ、ただ悲しくて。起きて早々、お母さんのもとに行って大泣きした覚えがある。訳も分からず泣いているから、お母さんも困ってた。  私も理由がわからないから、説明できない。  何か大切なことを、私は忘れている気がする。 「聖良ー。遅刻するわよー」  部屋の外からお母さんの大きな声が響き渡る。時計を見ると確かに危ない時間。 「はぁーい!すぐ準備するっ」  慌ててベッドから飛び降りた。  起きたら慌ただしい日常が待っているんだ。のんびり夢の事なんて考えていられない。  ……そう、考えないようにして、私は今まで生きてきた。
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