ハンプティダンプティ、誰も元へは戻せない

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 挙動不審ここに極まれりな態度を取りながら、私は頭の中にある露出狂の引き出しを引っ掻き回して考えた。  なにかないか。露出狂の情報が欲しい。露出狂に立ち向かう際の参考になるような知識はないかと。  やがて、露出狂は見られて興奮するという知識を思い出すことに成功した。  なるべく彼を見ないように。彼にかまわれぬように。なるほど。日本猿と同じ対処法か。 「じゃあ、宴もたけなわということで。この辺でおひらきに」  私はそそくさと彼の横を抜けて校舎裏を出ようとした。  しかし、 「待って!」  当然のように彼に捕まってしまった。 「頼む! 今日のことは言わないで!」  彼が必死に懇願してきた。私はあさっての方に顔を向けながら激しく縦に振った。 「もちろん。あなたが露出狂なんてことは……」 「俺が未だ露出狂デビューができないチキン野郎だということは、誰にも言わないで!」  え、あ、そっち?  私は驚いた。あっちもそっちもないが、てっきり口止めされているのは彼が露出狂であるということだと思ったので、彼のお願いは意外だった。意外というか変態だった。 「じゃあ、あなたが露出狂ってことは言ってもいいの」
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