13人が本棚に入れています
本棚に追加
空手の構えのように腰を落としガニ股で、両方の手は腰の位置で拳を握っていた。その手はコートの腰紐の蝶々結びの端っこを持っていて、左右に開けばいつでもコートをご開帳できるようになっていた。
ヤバい。本当にヤバい。露出狂が生まれてしまう。こんな状況まで進んでしまっては、千の言葉を使っても彼を止められはしないだろう。どうすればいい。どうすれば。
私は辺りを見回した。何か、現状を打破できそうなアイテムを探した。そして、傍らに一枚のブルーシートが落ちているのを見つけた。私はそれを拾い上げると目の前に広げた。一メートル四方の小さなシートであった。
私がこれをかぶって周りを見ないようにすれば、彼の露出狂デビューを潰せるだろうか。いや、無理やり剥ぎ取られて終わりだ。そんなことになれば、強引に自分の裸を見せることに快感を覚えた、より強力な露出狂、スーパー露出狂を生み出すことになりかねない。
非力でか弱い女子である私でも対抗できる方法は、このブルーシートを活用した対抗策は。
私が彼に立ち向かおうと足掻いている間にも、彼は私に少しずつにじり寄っていた。
「デュヘヘへ」
「なに、その笑い方」
「いや、露出狂っぽいかなと思って、前から練習して」
彼の露出狂デビューはかなり前から準備されていたようだった。
彼の腰紐を握る拳に強く血管が浮かぶ。
彼の性癖が解き放たれるのも時間の問題だ。
どうする、どうする、どうする。
最初のコメントを投稿しよう!