ハンプティダンプティ、誰も元へは戻せない

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 そして私の方は、ビンタをする右手をブルーシートの外に出したために、また、ビンタをした衝撃のせいで、ブルーシートを中から押さえていた左手が外れてしまった。  ブルーシートがドサッと落ちて、私の下着姿が露わになった。 「お前、裸じゃないじゃねえか!」  彼はビンタされた頬を痛そうに押さえながら怒った。 「学校でスッポンポンになれるか!」 「くそ〜」  彼は赤く腫れた頬から手を離して、再び腰紐の両端を握った。 「こうなったら、なってやる! 俺は露出狂になるぞーっ!」  と、彼が腰紐を引くが早いか、私は大声で叫んだ。 「きゃーーーーーーーーーーー!!!」  彼はあまりの大声に両手を腰紐から離し耳を押さえた。校舎裏に面したガラス窓がビリビリと震えるほどの大声だった。  程なく、校舎裏に入ってくる数人の人影が見えた。 「なにごとだ!」  見知った先生数人の姿が見えた。助かった。  そこから私は泣き真似をするばかりであった。なにも言わずとも、彼になんらかの刑事罰が課せられるのは明白であった。
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