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「これは凄い!!」
兄さんと姉さんに褒められて
蘭は有頂天だった。
椋兄さんがもう一度レントゲンで確認してくれたが
骨は元通り、さくらちゃんも元気を取り戻したのだ。
その日の夜、蘭は興奮を抑えきれずにいた。
いかんせん、このゼリー状の液体・・・金の匂いがぷんぷんする!
捕らぬ狸の皮算用でどうやって儲けようか
ウハウハしながらベットに入って
瞼を閉じてもウハウハが止まらなかった。
と、翌朝
屋敷中を震動させる悲鳴が響き渡った。
「たまごがっっなーーいーーーっっ!!」
頭を抱えて絶叫する蘭の元へお母さんがやって来た。
「あらあら、大声出して・・
女の子なんだから可哀想だと思って
お母さんが処理しておいたわ。」
お母さんは一流の美容整形外科医だ。
「蘭ちゃん怖がりだから寝てる間の方がいいと思って・・」
この程度のコブならベッドの中で施術する事など朝飯前なのだ。
「な、な、な、なんてことをっっ!!」
「あら、蘭ちゃんったら
コブが気に入ってたの? やあねぇ。」
しれっとそう言うと
「さあ。ご飯ですよ。」
と、パタパタとスリッパを鳴らして行ってしまった。
と、スリッパの音を追うように
断末魔の叫びが屋敷中に響き渡ったのは言うまでもない。
しばらく気を落としていた蘭だったが
コブの研究をしていた数週間が思いの外楽しかったので
改めてお父さんの病院で研修医になりたいと志願したのだった。
因みに
未発見の再生の技術を発表して
お母さんが世のご婦人から絶大な支持を受けるのはその数日後であった。
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