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「やっぱり!!」
分析した成分から摂取可能なのはわかっていた。
しかも、成分の羅列を眺めていると
治癒力に特化しいる気がしてならなかった。
それがまさか、服用する事で効力を発揮するなんて!!
柊兄さんのおかげで下痢に効く事はわかった。
でも、骨・・とか
なんかしらの再生にも効きそうな気がしてならない。
さすがに、
柊兄さんクラスの外科医を骨折させるわけにはいかない・・
「誰か・・って、言わずもがな・・だな!」
蘭は閃きを引っ提げて
体はもう自転車をかっ飛ばしていた。
向かうは2番目の兄さんのリハビリステーション・・
この街で一族は根を張っていて、皆そこそこ近くにいる。
夕方の診療まで休憩をしていた椋兄さんがいた。
蘭は椋兄さんを捕まえて
斯く斯く然々、手振り身振りで一気に説明して息をついた。
「で? 俺の骨を折りに来たと・・」
ニヤニヤ楽しそうに笑って見下ろす椋兄さんを見上げた。
2番目の兄さんも1番目と違わぬ長身で、
幼い頃の蘭はスタイルのいい兄さんに挟まれてお姫様気分だった。
だが成長するにつれ、かっこいい2人のニヤニヤが
可愛がってるのかバカにしているのか紙一重に思えて
あのニヤニヤに負けたくない一心で猛勉強してきた。
結果、難関大学を卒業するまでに至るが
いざ卒業すると目指すものを見失って
自分が何をしたいのかさえ、わからなくなって・・
穴の空いた脳みそで寝っ転がっていたのである。
「いやぁ・・・まあ・・」
蘭はなんとなくテヘヘと笑ってみながらも
どうやって椋兄さんを骨折させるか物色していた。
「ちょっと・・蘭、 怖いって・・」
にじり寄る蘭・・
後退りする椋兄さん・・
と、その時
「椋兄さん・・
休憩中悪いんだけど・・
さくらちゃん診てくれる?
・・骨折しちゃったかもしれなくて・・」
猫用のキャリーバックを大事そうに抱える薔子姉さんが現れた。
椋兄さんのリハビリステーションは動物病院も兼ねている為
薔子姉さんは飼い猫のさくらちゃんを診てもらいによく来ていた。
椋兄さんは不安そうな薔子姉さんを連れて
動物専用の施術室に入ると電気をつけた。
「どれ・・・」
眩しい照明に怯えるさくらちゃんに声をかけながら
キャリーバックのファスナーを・・
怯えるさくらちゃん・・の・
診察台に乗せたさくらちゃんの方を向いている2人の背後から
もの凄く強い念が・・その圧は2人を硬直させた・・。
凍りついた2人が気配を拭えないままゆっくりと振り向くと
そこには小瓶を握り締めて、仁王立ちしている蘭がいた。
「なにっ・・? なんなのっっ!?」
さくらちゃんを守るように
薔子姉さんは半ばキレ気味に蘭と椋兄さんを交互に見た。
さくらちゃんから視線を外さない蘭の代わりに
斯く斯く然々、椋兄さんが事と次第を説明した。
「で、さくらちゃんを実験台に?」
試したくてたまらない欄と
折られたくなくて必死な椋兄さんが
薔子姉さんの言葉を待った。
「その前に、見せてその成分。」
蘭が携帯で椋兄さんのパソコンに送ったデータを
薔子姉さんが確認している間
椋兄さんはさくらちゃんのレントゲンを撮って
骨の状態をチェック
「可哀想だけど、ひびが入ってるみたいだなぁ。」
と、それを聞いた蘭が
物足りなさそうな顔をして椋兄さんに無言で一喝され
我に返ってさくらちゃんに謝っている。
の、間に薔子姉さんがデータに目を通し終わったらしい。
「わかった。
でも、もしうちのさくらちゃんに何かあった時は
椋兄さん、絶対治してね!」
こっちはこっちで殺気立っている。
猫にとっても害がない成分だったので3人は試す事にした。
味が甘くて美味しいのは猫も一緒のようで
足が痛いだろうにペロペロと美味しそうに舐めきった。
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