彼女との日々

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彼女との日々

私は帰り方もわからず、森を彷徨っていると、月のひかりに照らされていない暗い空間があった。 それがまるで私のようにおもえて ”一緒にいてあげたい” とおもった。 そしてそう思えば思うほど ”側にいてあげたい” ”寄り添いたい” 《君が輝けるようになるまで……》 という気持ちが強くなった。 だからかわからないけど、そこは気が落ち着いてホッとできる。 ”少しの間、そこで休んでいこう” そう思って今日起きたことを頭の中で整理していると 安心したのか、それとも疲れたのか頭がクルーズして、どんどん眠くなってくる。 眠いって自覚したら ”今後のことは後からでもいいや。 明日になったら考えよう。” と考えてしまう。 でも、眠気に抗えずとうとう眠ってしまった。 太陽が出てきたのか起きようとおもったら 太陽のぬくもりが暖かくて眠気をうながす。 ヤバい。さっき起きようとしたばっかなのに・・ でも、気持ち良すぎて寝てしまった。 起きた時にはもう夜だった。 ”太陽には睡眠促進作用があるのかな。” 空はもう月が出ていて今日の月は 更待月(ふけまちづき)だった。 そして今日も月は一方向を照らしている。 ”まさか今日もあの場所にはいないよね” けど、その予想は大幅に外れていて 彼女はその場所にいた。しかも起きて。 彼女は私に気づくと体をくるりと向いて待っていたかのように 曇りなく笑う。 妖精さんたちの光と彼女の笑顔でおとぎ話に存在する景色。 もしくはそれを超えて神様の森にいるかのような神秘的風景に 目をぱちくりしながらも瞬時にその風景を脳内にインプットする。 「ねぇ。一緒に遊ぼ?」 まさかの言葉に驚きながらも無邪気な笑顔に頬を染めて言う姿に見惚れて 顔を綻ばせる。 彼女は私の手を引いてくるくる回る可憐な動きに 私と彼女だけの世界、景色、光だと勘違いさせるような幻想的心地で心躍される。 私は今までにこんな素敵な夜を過ごしたことがあるだろうか? いや。ないだろう。 何度も文化祭最後にキャンプファイヤーの前でフォークダンスのお誘いを受けてダンスをしたことが会った。 それなのに全然楽しくなかった。 彼女と他の人とは何が違うんだろう。 しかも、彼女は私が羨ましく妬んでいる相手。 もしかして、そういう相手が友達ってこと!? 正直自分が彼女に対する気持ちはわからないけど、 ”彼女が自分にとって大切な存在” っていうことは変わらない。 一番最初は羨ましい気持ちと憧れの気持ちが混ざりあった複雑な感情だった。 だけど、今ではその考えは改められ”彼女のことをもっと知りたい”という気持ちが心の中でいっぱいになった。 ”これ以上幸せなことなんてない” まだ自分が彼女に対する明確な気持ちは分からない。 だけど、今はそんなことはおいといて今の彼女との時間を楽しもう。 私はそう思った。 「今日、一緒に過ごしてくれてありがとう。とても楽しかった。 また、誘ってもいい?」 「もちろん。だって私達、友達でしょ?」 「え!?」 それを聞いた瞬間、私は ”あぁ。これが友達なんだ。” と思った。 そしてその考えは妙に私を納得させた。 いままで、守られることを勝手に幸せだと思ってきた。 でも、今はそれが違うと断言できる。 心の中でその人とずっといたいって思える人といることがきっと幸せで、 そういう人のことを友達っていうことを知ったからだ。 もしかしたら、それが本当は友達ではないかもしれない。 けど、今は ”その答えが知れるまでは友達っていうことにしておこう。” それが今、 《私が出し得る最適な答えだから。》 「うん。これからよろしくね。」 私は喜びで頬がその時緩んでいたかもしれない。 けど、その時の私は顔に喜色を浮かべながら『ニカッ』っと笑った。 その日から、”帰ろう”と思う時は何度もあった。 けど、彼女と過ごす居心地のよさに ”明日は帰ろう” ”次は帰ろう”と思うだけの日々が過ぎていった。 《そのまま時が止まってしまえばいいのに・・》 でも、それは無理だ。 自分の気持ちにけじめを着けてもといた世界、空間、居場所に戻らないといけない。 だから、 ”今回は違う。絶対に帰るんだ。” って決意する。でも、太陽の光があたたかすぎて抗え得ない。 起きたら絶対に出ていこう。そう思って眠りについた。 「起きて。ねぇ。起きてってば‼!」 「ううん。(コスり)なぁに〜。」 「えっ‼!なんで。ここに・・・」 「会いに来たかったから会いに来たんだよ。」 そう言って首を傾げた姿はとてもかわいかった。 そして、彼女が会いに来てくれたってだけで心臓がドキドキした。 「本当に君ってかわいいねぇ。特に昼は。 とてもキラキラしている。 太陽の光に当てられながら寝ている時は本当にキュン死しそうになったよ。」 照れたような表情で彼女にそう言われると私も照れてくる。 「あっ。ありがとう//」 彼女が私に会いに来てくれてとても嬉しかった。 そして、彼女からも私からも来て一緒に遊ぶようになった。 だからこそ、彼女といる時間が幸せ過ぎて、 家に帰ることをいつの間にか忘れてしまっていた。
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