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「ねぇ。何か、雰囲気 違わない?」
「そう?
最近、忙しかったからかな?」
ウイカ... は、俺の返事に
「そうみたいね」と、目蓋を臥せて
「先週は ロクに会えなかったわ。
メッセージの返事だって、一言 二言で... 」と、拗ねた顔をして見せた。
「ごめん。マジで仕事が、さ」
「そう... 」
そう。久しぶりなんだよな。
部屋で会うのも、ソファーに並んで飲むのも。
凍らせたライムが入ったベルモットのグラスを傾けると、口の中に流し込んだものを 一息に飲み込んだ。
まだ 味に慣れないな。普通のワインなら まだしも。何だって 家で こんなものを飲むんだろう?
ウイカ は、手にしたグラスに眼を向けたまま
「私のこと、もう 好きじゃなくなったのかな... とか、思ってた」と、融けていくライムを ハーブ酒の中で揺らした。
ふうん... こうやって拗ねても かわいいんだな。
「そんな訳ないって... 」
そう返しながら、話して みようか... と、ふと 思った。
飲み慣れない味の酒のせいかもしれない。
本当のことを話したら、どうなるだろう?... と。
でも、俺は “俺” だ。
笑い飛ばされるのが関の山だろうな。
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