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社内でも常に いろいろな音はしているけど、今請け負ってるアプリの納期が短くて、皆 仕事に集中していた。
... だから、聞き慣れない微かな音に気付いたんじゃないか?
会社に向かうと、自分の部署へ入って、仕事中の奴等の間を縫って歩いた。
途中、何度か 瞬きをしたと思う。
でも、外の人混みの中で感じた程の不安に駆られる事はなかった。
外よりは閉鎖的 というか、空間に限りがあるからなんだろうか?
『あっれ... ?
このファイル、開けないんすけど』
眉間にシワを寄せて、一人が言った。
俺と同じような仕事をしてる奴だ。歳も近い。
違いは、こいつは 何かと得をするタイプ だというところだ。
顔がいい というせいもあるんだろうけど。
結構 いい加減で、ミスも多い。
でも 大抵は許されて、可愛がられもする。
俺も『ちょっと これ見てよ』と言われて、何度か手助けした事がある。
『... ん?』
そいつ... 仲谷と、眼が合った。
『んー... 』と 自分の目蓋を擦った そいつは
『気のせいか... 』と、ディスプレイに視線を戻したけど、眼が合ったんだ。
仲谷か... 悪くない。
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