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会社では、どこから音がしたのか分からなかった。前の方からでは なかった... という事しか。
コンビニから出た時は、右側からした。
でもやっぱり、音の発信源になるようなものは見当たらない。
部屋に帰ると、普通に テレビを観ながら 弁当 食って、シャワー 済ませて。
寝る前に、ベッドで スマホゲームしてる時にも聞こえたんだ。
今 居るリビングてはなく、寝室で。
ベッドの、俺の すぐ近くで。
耳の病気なのか? 変な耳鳴りかもしれない... と疑って、耳鼻科に行ってみようか とも考えたけど、その考えが変わったのは、アレを見てからだった。
「... 朝も 音が聞こえたんだよ。
ヒゲ剃った後に、すぐ隣で。
で、鏡の中に見つけちゃってさ」
それは、両目だった。
「やだ!」と、ウイカが 目を見開いた。
グラスを手にしたままだという事も忘れているようで、結露の滴が スカートに小さな水の染みを作っている。
でも、本当の事だ。
「それがさ、丸い眼球なんじゃなくて。
んー、どう言えばいいかな?
透明人間の目だけが見える... って感じかな」
パチパチ という音は、それが瞬きをする音だった。
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