「星ではない何か」

あの日もこんな日だった。青空が広がる夏の暑い日だった。

「ゆうきは変わったよ。あの頃から」
そう言う彼女の寂しそうな顔も思い出した。
「僕は何も変わってない。」

豪勢なレストランは予約できない、何もサプライズもできない、寂しい思いをさせたかもしれない。

そういう僕にも付いてきてくれた。僕は彼女と知り合った当時、小説家を目指す男だった。街コンで出会った彼女は話しやすくて気を許しやすくて誰にもモテていて、キラキラ光る人だった。晴れた日に出会えた天使だった。

「生まれ変わったら何になりたい？」
唐突に質問されて、じっくり考え込んだことがあった。熟考する僕の顔を見て
「私は雲になりたい。」
と笑いながら話してくれた。元気な彼女は、ゆったり流れる雲になりたいそうだった。

一方で僕は″何者か″になろうと必死だった。誰かの星になれるように、必死で生きた。彼女のため、自分のため、何を夢見て、何をするのか。