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薄闇の中で目を凝らすと、小児病棟の壁紙に優しい色合いで描かれた、さまざまなイラストがぼんやりと浮かび上がる。
野原を駆け回る動物たちの頭上には、数羽の白い鳩が飛び交っている。
いつだってぼくは、あの鳩が羨ましかった。
肉体が死んでしまってからも、未だにぼくは自由じゃなかった。
あれからずっと、ぼくはヒデトの側を離れることができないでいる。
けれど、彼にはぼくが見えていない。暗い病室だとか夜の墓地だとか、魂の存在感がぐんと高まるいくつかのシチュエーションを除いては。
ぼくはいつだって、見ているだけの傍観者だった。
生きているにも関わらず、あのクラスにいる、大半の人間がそうであるように。
ここにいるのに、誰にも気づいてもらえないのは、本当に寂しい。
だから、こうして君と再会することができて、ぼくは嬉しい。
今ようやく閃いたんだ。ぼくが自由になれる方法を。
やっとさよならができるね、ヒデト。
触れた首筋はひどく冷たい。
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