見てるだけ

8/11
前へ
/11ページ
次へ
翌週、ひろちかのいなくなったクラスでリレーの練習に挑んだ。 ひろちかが抜けた分はヒデトが走った。 ヒデトは2人分の走者を務めたとは思えないスタミナでアンカーを駆け抜け、5年2組はぶっちぎりで過去最高タイムを叩き出した。 「ちょうどよかったじゃん!」 腕から血を流すひろちかを見て、誰よりも青ざめていたことなんて忘れてしまったのか、ヒデトは頬を上気させ、大きな手柄を取ってきたかのように胸を張った。 誰も否定しなかった。 ひろちかがいなくなった今、次のターゲットに指名されることを、誰もが心の内で恐れ怯えていた。 結局、今年の運動会は中止になって、5年2組がリレーを走ることはなかった。 運動会前日の給食の時間に、ある事件が起こったからだ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加