エスカルパン(舞踏会の靴)

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彼女は王子さまを独占してしまったの。 他の女の子たちは悔しがったけど、いつしかスラリとした美しいふたりのワルツに、ウットリ見入っていた。 そして、舞踏会は終わり。 王子さまはシンディーに(とりあえずと呼ぶわ、あの童話とは違うけど・・・)お声をかけられたけど、彼女はひと言も答えてくれない。 悲しそうなお顔で、王子さまを振り切って帰ろうとする。 王子さまは、とっさに彼女の靴を踏んづけた。 当然靴は脱げちゃって、シンディーはすっ転んだ。 おでこを床にしちゃったけど、そのまま走って行ってしまった。 王子さまは衛兵たちに追いかけさせたけれど、シンディーの足はものすごく速かった。 100メートル10秒49、当時の世界記録を更新したはずよ。 まるで、ドレスを着たフローレンス・ジョイナー・・・はい、ググって! もちろん、衛兵たちは誰も追いつけなかった。 王子さまは、彼女の残した落し物・・・片方のエスカルパンを大切に拾われたの。
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