49人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
糖度10
俺の朝は、隣の家に住む幼なじみ兼彼氏である、七瀬綾を迎えに行くところから始まる。
髪型、…多分オッケー。寝癖ないし。
顔、…顔はいつも通りだ。うん。歯にもふりかけの海苔とかついてないしね。
いつものように鏡で自分の顔と睨めっこしてから、俺は家を飛び出した。
「綾、おはよー!!」
玄関のドアが開いた瞬間に綾に抱き付くと、顰めっ面な綾と目が合った。
「…うるさい、朝からでかい声出すな。」
「え、そういうから気をつけたつもり何だけど?」
「いや普通にうるさいし。後ひっつくな、暑苦しい。」
腕に絡まる俺を見て、綾が鬱陶しそうにため息をつく。…とても恋人に対する態度とは思えん。
ちょっとぶすくれて綾の顔を見上げると、綾の癖のないさらさらの黒髪が風にふわりと煽られていた。180センチ以上ある長身で、足が長くスタイルが良いから、一見すると痩せて見えるその体は、脱ぐとしっかりアルファらしく筋肉質だ。当然のように顔立ちも驚くほど整っているし、頭も良い綾。学校ではまるで王子様のように扱われ、男女共にモテまくっていた。綾が所属する弓道部が、やたら大所帯なのは百パーセント綾の影響である。
綾の顔に見とれてぼけーっとしていると、綾の大き手が俺の顔に真っ直ぐに伸びてきた。
「っいて、!」
「ぼーっとすんな。遅刻するぞ。」
軽くでこピンされたおでこを押さえて、裏目がましく綾を見上げたが、そんな俺をほったらかしにして綾はもうスタスタと歩き出していた。
…酷すぎる、、いつものことだけど!!!
最初のコメントを投稿しよう!