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そんなラッキースケベがあったこともいつしか忘れ、俺は授業の休み時間を友人達と過ごしていた。
「木戸城ってさー、すっげー尻軽って聞いたぜ」
「あっ、俺も知ってる。男をとっかえひっかえだって」
木戸城優菜。それは、今朝、パンチラを目撃したクラスメートの話だ。俺が好きな女子生徒でもある。
「まあ、めちゃくちゃかわいいしな。言い寄る男も多そうだ」
木戸城はとても可愛らしい。ゆるふわ系というのだろうか。緩やかにカールしたふわふわの髪の毛をふたつ結びにしており、透き通るような色白の肌を持ち、目鼻立ちがくっきりしており、睫毛がとても長い。健康的なスタイルの良さで、短いスカートからは長い足がよく見える。
「あー、俺も付き合いてえ! どうせそのうち捨てられるんだろうけど、あんなにかわいいんだからそれも許されるよな。なあ、音無もそう思わねえ?」
友人達は木戸城が教室にいないことをいいことに言いたい放題だ。そんな彼らを疎ましく思いつつも、俺も彼女が気になっているとはとても言えなかった。
「俺は木戸城には自分を大切にしてほしいな」
「うっわ、真面目かよ」
「さすが万年童貞くんは言うことが違うね~」
「うるせえ」
俺こと音無秋弥は、そんな性欲に支配された不純な動機で木戸城に恋をしているわけではない。そう訴えたかったが、彼らには理解されないだろう。そう、もっと高尚で高潔で……そこまで考えたとき朝の光景が脳裏をかすめる。あの白い布が、何よりも高潔に思えた。
ブンブンと頭を振って不純な妄想を頭から追い出す。
「どした?」
「何でもない」
始業のチャイムが鳴ったので、周りの友人達を追い払うようにして席に着く。
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