祖父と闇

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「お、お母さん!じいちゃん起きた!」 「ぐすっ、何言ってるのよそんな訳ないじゃないっ、、そんな冗談言うんじゃない!」 「い、いやまじで、、、え?」 幻覚?嘘だろ? たしかに寂しいけど多分幻覚見る程じゃないというか、、、え?気づかないうちに俺相当病んでた?? 「じ、じぃちゃん???」 恐る恐る呼ぶとギョロっと目玉だけが俺を見た。 「うわぁ!!!びっっくりしたァ!」 思わず叫ぶと母から怒られた。 「あんたいい加減にしなさいよ!」 「いやまじで!!見てみろよ!」 そう怒鳴り返すと怪訝な顔をした母が近寄ってきて祖父の顔を除いた。 「なによ、やっぱり起きてなんてないじゃない」 「は、え?、、ほんとだ」 もう一度俺も覗き込んだ。 すると、確かに目は閉じられていた。 (おっかしーな。確かに開いてた気がするんだけど) やっぱり幻覚か?と本気で自分の頭と精神状態が心配になってきた。 目が疲れてるのかも、と目を1度思いっきり閉じる。 悶々としながらも目を開け最後にもう一度祖父の顔を見る。 パチッ 「……」 目が合った。 思わず半目になってしまってもしょうがないと思う。 (え、やっぱり起きてるじゃん) 「……かぁさん、もう一回来て」 「なによ、」 さっきは母さんに怒鳴った時に目を離してしまったため、今回は目をそらさずじっと祖父を見つめる。 目は確かに開いている。 母がそっと棺に手をかけ、祖父の顔を再度のぞき込む ━━━そのとき スッ (って) 「目を閉じるなぁァァァ!!」 母が祖父を視界に入れるその瞬間すかさず目を閉じた。思わず棺を叩きながら叫んだ。 台パンならぬ棺パン。 「っあんた!いい加減にしなさい!」 そんな怒鳴り声も何にも怖くはない。 だって確実に俺は見た。 「おい、まじで起きろよ!俺がヤバいやつみたいじゃねぇか!!」 棺を叩き続ける俺に周りが止めに入る。 ガタン 「なんじゃい、騒がしいのぉ」 棺が開いて、祖父が体を起こして鬱陶しそうにこちらを見ていた。 「「…………」」 「んぁ?なんじゃい、みんなして化け物でも見たような顔しよって」 耳に指を突っ込みながら呆れたように言う。 「「...はぁぁぁぁ???」」 全員の叫び声が響き渡った。 そりゃ化け物を見たような顔にもなる。 死人が蘇ったのだから。 (やっぱりあれ黒魔術????) 俺は自分の頭と精神状態が正常なことに安堵し、それと同時に現実逃避したくなった
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