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二日後、17時半にカラオケを切り上げて高架広場にやって来た。
私たちが着いてから5分くらいして彼が来た。
一昨日と同じ場所に腰を下ろし、ギターケースからアコギを取り出した。
「来た来た。行こう」
有美子に背中を押され彼の正面まで来ると、顔を上げた彼と目が合った。
間違いじゃない。胸が高鳴る。
私はこの人の事が好きだ…。
彼が軽く頭を下げて挨拶してくれたおかげで気まずさが少し軽くなった。
挨拶を返してその場に座った。
5曲歌い終えた時には20人くらいの人だかりができていた。
ギターをしまう彼に、こないだの女の子たちが話しかける。
「シマちゃん‼︎今日も来たよー」
「CDとか作ってよー?買うのにー」
「次はいつ歌うのー?」
聞き取れない声で彼が何か返事をしている。今日は話しかけられそうにない。
立ち上がった彼が、すれ違う様にして通り過ぎて行く。
「次は、来週火曜日18時…かな」
そのまま彼は歩道橋を降りて行った。
私はその場から動けずに立ち尽くしていた。
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