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 九月三日。二学期が始まってすぐ、まだ夏の暑さを残した頃合い。今日は、みぃにとって特別な――運命の日。 「凛世(りせ)ちゃん……みぃ、今日でお別れかもしれないの」  眉を下げて、神妙に切り出した。凛世ちゃんは、驚いて目を瞠る……なんてこともなく、いつも通りの冷めた口調で、「は?」って興味なさげに返してきただけだった。  切れ長の鋭い鉛色の瞳は、手にした本のページに向けられたまま、こちらには一瞥もくれない。真っ直ぐで艶やかな黒のロングヘアーが、窓からの微風(そよかぜ)にサラリと(なび)いた。  ああん、冷たい。でも、そんなところもクールで素敵。  朝、授業前の喧騒に包まれた教室内。みぃはいつものように、三つ離れたクラスから凛世ちゃんに会いに来ていた。凛世ちゃんはいつもみたいに自分の机で一人、読書をしていた。だけど、今日はいつもとは違うの。だってーー。 「今日って、確かアンタの誕生日じゃなかったっけ」  目線を落としたまま、凛世ちゃんがぽろりと呟いた。 「! 覚えててくれたの!?」 「アンタの誕生日アピール、毎年激しいから嫌でも覚えるって」
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