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「早速ですが、稽古を始めますぞ。」
そう言って、私を建物の外に連れ出したのだった。
大きな空に、たくさんの大きな針葉樹が伸びている。
少しずつはっきりとしてきた意識の中で、ふと後ろを振り返ると、私が寝ていた建物が白い宮殿だった事に気づいた。
私は抜き身の剣を渡されて、言われるままにそれを両手に持った。
しかし、剣先は重く、持ち上げることも出来ない。
「まずは慣れることからですじゃ」
ノルナゲストは歩きながらそう言って、ある程度距離をとったところで、右手を伸ばして、人差し指で私に合図していた。
……と言われても、こんなのどうやっていいわからない。
「おや、動けませんかの?
ようやく宿った魂ですからの。
まぁ、多少は仕方がないでしょう。
とはいえ、動けないわけがありますまい。
気持ちを集中するのですじゃ」
と言われても、歩くことはできたものの、とてもゆっくりとしたものだ。ちゃんと他の動きもとれるのだろうか。なによりも、両手に持った剣が重い。
「……まだ、動けませんかの?」
そう言われても、剣の切っ先を地面から離す事が出来ない。ただ時間が過ぎていくだけだ。
「……では、強引にいかせてもらいましょう」
ノルナゲストはそう言うと、私の懐に瞬時に飛び込んできて、その拳で私の溝内に強烈な一撃をくわえて、そしてまたすぐに距離をとった。
い!痛いっ!!!!
腹部に強い衝撃を受けて、うめき声にもならない、潰れた音が胃から漏れ出た後は、ただ踞るしかなかった。
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