第一話:はじまり

10/20
前へ
/23ページ
次へ
「痛みを感じますでしょう? ですがその肉体は特別なもの。その程度のものは、あっという間に回復します」  腹部の衝撃が和らぎ、ノルナゲストの言葉通りに、すぐに痛みから解放された。 そして、体勢を整えたのだけれど……。また腹部に衝撃が走った。 その次も、またその次も同じだった。 その度に、私の身体はくの字に折れ曲がる。 「ほらほら、何をやっておられます? ちゃんと剣を構えないと、状況は変わりませんぞ?」  そう言って、右手の人差し指と中指を立てて、かかってくるようにと手招きをする。 どうにか剣を構えないと……。 「先に言いましたが、その肉体が馴染めば、あなたのそれになっていきます」  そしてまた衝撃が走る。 さっきのよりも強いやつだ。 めちゃくちゃ痛い。 その痛みはすぐに癒える。けれどまた痛みが来るだろうという不安が先行して、さらに身体が動かせない。 「ひょっとして、やる前から諦めておられるのですかな? あなたにとっても、これは千載一遇の事でしょう? 無駄にされるおつもりですかな? 本気を出しなされ! 動かせて当然と思いなされ」  その言葉と同時に、また強い衝撃が腹部に走る。 それでも、私にはどうすることも出来ない。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加