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私の腹部に来るはずの拳を右手で払いのけて、左手に持った剣を軸にして、ノルナゲストの背面に回り込む。そうして、肩甲骨に拳をあてる事が出来た。
だがしかし、なんのダメージにもなっていない様子で、微動だにしていない。
「そうそう。悪くはないですな」
そう言うと、ノルナゲストは私の足をすくい、肩を持って私の身体を地面にめり込ませた。
さっきよりもすごい衝撃だ。でも、何故か身体は軽く感じる。身体が少し慣れてきたってことなのか?
やがて、私が体勢を整えた頃、
「では、次はちゃんと剣を持ちなされ。
剣術と体術を、我を見て盗んでいかれるがよろしい」
剣……剣を持つ……
構える………
「本物の剣ですからの。
切られると痛いですぞ」
痛い?
そんなので済むのだろうか?
どうにか避けないと……。
そうじゃないと、死んでしまう……。
私の中のその気持ちが、剣を両手で握らせた。
切っ先をノルナゲストに向けることを意識すると、思いの外軽く感じた。
これならいけるか。
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