第一話:はじまり

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 次に目が覚めた時、私は、見覚えのない風景を目にしていた。  首を動かしてみると、絵本でしか見たことのない中世のヨーロッパ風の衣服を着た人達が、ロウソクの光に揺らめいていた。 その中の一人、麻布のローブを着た初老の人物が私を見て、何かを叫んでいる。 最初は何を言っているのか解らなかったけど、意識がはっきりしてくる毎に、なんとなく理解できるようになってきた。 「両の目に生気が宿っている! 成功だ!」  そう叫んでいるのは間違いないようだ。  今まで何度も夢見ていた。 だけど、その全てが俯瞰的なもので、風のように揺らめきながら風景を見ていた感じだった。 でも今は違う。  私は瞼を閉じてから、もう一度ゆっくりと開けた。そして、いつものように自分の頬や額を右手で追ってみる。  左手も動くようだ。 点滴のチューブは腕から伸びてはいない。  しかし、なんだろう。 この違和感は。 手も大きい 顔もしっかりしている。 『私の名前は…… ヒナゲシ。』  自分自身を確かめるように、頬を撫でながら呟いてみると、 「おおっ! 喋った!」 という声が上がる。  人々の熱気なのか、それとも灯りに使っているロウソクのものなのか、独特の香りがする。でも決して嫌なものじゃない。
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