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誰に尋ねるでもなく、
「ここは……どこ?」
そう呟いてみると、また軽いざわめきが起きた。
「これで、残されていたのが我々の世界だけではないことがわかった。」
麻布のローブを着た人がそう言うと、彼の回りの人々がこぞって言葉を口にしていた。
「ですが教典では、この世界しかないと記されています。
この世界の、誰かを呼び寄せたものの可能性もありましょう。
まだ召喚されたものとするには、まだ確固たる信用が得られておりません」
誰かが口にした言葉は解る。
つまり、これはファンタジー的な何かなのね。
「……現に、永らく封印されていたシグルドに魂が宿った。それは事実じゃ。
それに、ブリュンヒルデの予言の通りなら、審判を迎えるのはもうすぐじゃ。
もう猶予はないぞ」
「ガロアが攻めてくる。と言うことですか?」
「ガロアなど、我らの敵ではない」
「これで怯えなくてすむではないか!」
それ以外にも、所々で不安と希望をないまぜにしたような声が聞こえる。
「しかし、あちらにもシグルドと同様のものがある。
我々が封印解除できたということは、無論あちらもそうであろう。
遅かれ早かれ、あの機械化帝国ガロアは、我々に対して戦争を仕掛けてくるじゃろう」
ローブの人がそう言うと、一斉にどよめきが起きていた。
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