君に恋する青い月【特別編の番外編⑨】幸せって何だっけ

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 シャワーを終え、樹は再び寝室へとやって来た。  汐里は相変わらず気持ち良さそうに眠っている。  今までは誰も待つことのない部屋に帰り、一人で眠るのが当たり前だったはずなのに。  樹は汐里を起こさないように、自分も同じベッドの中へ潜り込んだ。  汐里の無防備で安心しきった様子を見ながら、どういうわけか自分も癒やされるのを感じてしまう。  遅い時間に帰ってくるため「おかえり」と出迎えてくれるわけではないのだが、こうやって寝顔を見ているだけで幸せを感じてしまっている。  髪や頬を撫でたい衝動に駆られながら、樹は汐里の寝顔を見ていた。  すると、その時いきなり汐里が声を上げた。 「う……あ……」  樹は、自分が彼女を起こしてしまったのかと一瞬慌てたが、そうではない。  考えているうちに、汐里は涙を流し始めた。 「ふぇ……お母さん……お父さん」  すんすん言わせて泣き始める汐里だったが、どう見ても眠ったままだ。  夢でも見ているのだろうか。  樹はこの状況をどうすべきなのか、困りながらも彼女を見つめていた。 「しおりん、どうした?」  苦しそうに泣く汐里を見ていると、起こしてやらないともっと辛い思いをしそうだ。  そう考えた樹は、汐里の肩を揺らして声を掛けた。
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