君に恋する青い月【特別編の番外編⑨】幸せって何だっけ

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「オレがいるから。しおりんは一人じゃないよ」 「うん、ありがとう……ふぇぇ」  少しの時間が経ち、汐里はようやく泣き止んだ。  普段は明るくて元気な汐里だが、こんなふうに弱さも持っているのだ。 「樹くんと一緒に住むようになってからはこんな夢見なかったの。久しぶりだったんだもん」 「そうなんだ」  えへ、と笑う汐里。 「しおりん」 「なぁに?」  樹は、ベッドの横のライトを少しだけ明るくした。  お互いの表情が先ほどよりもよく見えた。  赤くなった汐里の目がこちらを見つめている。 「これからは、オレがいるから」 「あっ!うん……」  樹の言葉を聞いた汐里は、頬をぽっと赤く染めた。  恥ずかしさに目を逸らす汐里。  彼女の手の指に樹の指を絡めて握り合う。 「オレがずっと傍にいて、しおりんを幸せにするから。だから安心して」 「うん、ありがとう、ふぇぇ」  泣き止んだはずの汐里が、またもや涙を流し始めた。  そして再び樹が彼女を抱きしめ、二人は身体を横にした。  汐里が眠りについたのを見届けて、樹も目を閉じた。
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