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「オレがいるから。しおりんは一人じゃないよ」
「うん、ありがとう……ふぇぇ」
少しの時間が経ち、汐里はようやく泣き止んだ。
普段は明るくて元気な汐里だが、こんなふうに弱さも持っているのだ。
「樹くんと一緒に住むようになってからはこんな夢見なかったの。久しぶりだったんだもん」
「そうなんだ」
えへ、と笑う汐里。
「しおりん」
「なぁに?」
樹は、ベッドの横のライトを少しだけ明るくした。
お互いの表情が先ほどよりもよく見えた。
赤くなった汐里の目がこちらを見つめている。
「これからは、オレがいるから」
「あっ!うん……」
樹の言葉を聞いた汐里は、頬をぽっと赤く染めた。
恥ずかしさに目を逸らす汐里。
彼女の手の指に樹の指を絡めて握り合う。
「オレがずっと傍にいて、しおりんを幸せにするから。だから安心して」
「うん、ありがとう、ふぇぇ」
泣き止んだはずの汐里が、またもや涙を流し始めた。
そして再び樹が彼女を抱きしめ、二人は身体を横にした。
汐里が眠りについたのを見届けて、樹も目を閉じた。
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