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『オレがずっと傍にいて、しおりんを幸せにするから。だから安心して』
同時に、汐里に言った言葉も思い出した樹は、顔がカーッと赤くなるのを隠せなかった。
夜中だったとはいえ、照れることを口走ったものである。
「あれ?樹くんどうしたの?」
汐里が不思議そうに樹の方を見ている。
ゆっくり近寄ってくる汐里に、樹は後ずさりしている状態だ。
「しおりんが幸せなら、それでいいんだ」
目を逸らしながら樹が言うので、汐里はこれ以上ないほどに笑顔で答えた。
「うん!幸せ!私ね、樹くんのお嫁さんになれるのがとっても嬉しいの!」
光がこぼれそうな表情に、樹は圧倒されながらもふふっと口元を緩める。
汐里が笑っていることが、樹の胸の奥をふんわりさせる。
(こういうのが『幸せ』、っていうのかな)
そう思ったあと、樹は汐里に言った。
「お腹すいた~!朝ご飯食べたい~」
「うん!出来てるよ~!一緒に食べよう」
汐里に手を引かれ、テーブルの前に座る。
一週間後、二人は正式に夫婦になるのだ。
樹は姿勢を正し、両手をぱちんと揃えて言った。
「いただきま~す!」
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