152人が本棚に入れています
本棚に追加
私宛じゃないラブレター
ガタンッ....
部活が始まって少し経って、人気が少なくなった昇降口に
下駄箱のロッカーがしまる音が響いた
昇降口の死角から顔を覗かせ下駄箱を見ると
靴を鳴らしながら早足で去っていく後ろ姿がみえた
(誰だろう...?)
「美桜〜!」
突然後ろから聞こえてきた声にびっくりしながら後ろを振り向いた
そこには急遽入った委員会の仕事をしてきた私の友人の凛がいた
「ごめんね〜!少し待たせちゃって...!」
「全然待ってないから大丈夫、
もうすぐ終わるかなって思って先に降りてきてた」
「流石美桜だね〜私が来るって分かってたのカナ?
ところで何見てたの?後ろから見ると不審者だったよ?」
そんな不審者に見えてた事に多少ながら驚きながら
周りから見える私の姿を想像してみた
人がいない昇降口を顔だけ出して覗いている...
めっちゃ不審者だ...
一回忘れよう...そうしよう...
「さ、さっきそこに誰かが居たんだけど...」
「それが気になってそんな不審者みたいなことしてたって事ね〜」
笑いながらそんな事を言う凛に私は恥ずかしくなって顔をそむけた
「まぁとりあえず帰ろうよ〜」
「そうだね」
2人で下駄箱に近づき靴を取り出そうとロッカーを開けた
すると靴の上に1枚の手紙が置いてあった
その手紙に書いてある名前を見るとそこには
『永素 凛さんへ』
凛宛の手紙が私の下駄箱に入っている
(またか...)
「何々またラブレター?」
「そう...しかも凛宛」
「またかー、わたしたちがロッカー交換してるって
気づいてる人いないのかな?」
入学式が終わってホームルームが終わってみんなが帰り始める頃に
凛がロッカーを交換しないかと提案してきた
私は1つ返事でそれを了承した
その出来事は何かの縁だと思いそれから凛と一緒に帰ったりする仲になった
「初日だったしあんまり知られてないと思うよ?
それでまた断るの?」
「うーん、断るけど返事するの面倒だから捨てといていいよー」
「す、捨てる?!いいの?」
今までは何かしら返事をして断っていた凛だったのに
今回は返事をしないで捨てるらしい
「行くよ〜美桜!置いてくぞ〜」
「ちょ、ちょっと待って!」
その凛宛の手紙を乱雑に制服のポケットにしまった
最初のコメントを投稿しよう!