<3・かいだん。>

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 思わず、あたしは侑季と顔を見合わせてしまう。怖いと言えば怖いが、なんか一気に絵面がホラーというより、ファンタジーみたいになってしまったのだが。ミシンが襲ってくる、の図があまりにも想像がつかない。それに、襲ってくるのが幽霊ではなく機械なら、ぶっ壊して終わりであるような。 「あ、お前ら信じてないな!?」  ぶう、と頬を膨らませる鶴弥。 「ミシンの暴走って、結構ガチで怖いやつだったらしーぜ!この部屋に一人で入るとな、いつのまにかミシンに手を挟まれてんだよ!で、指先から手首までどんどん針を打たれていくという……」 「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」 「で、でももうここ工作室じゃないし、ミシンもないんだから関係なくね!?」  ひっくり返った声で叫ぶあたし。思わずパソコン教室の中にミシンの影がないか探してしまったのはここだけの話である。 「そう、工作室じゃなくなったし、ミシンもなくなった。でもな、女の子の幽霊は成仏したわけじゃなかったんだ。まだまだ、自分の痛みをみんなに思い知らせてやりたくてたまらなかったんだ」  それでな、と彼は声をひそめる。 「幽霊も時代に合わせてアップデートしたんだ!その技術を身につけたんだぜ、こいつは驚きだ!」 「あ、アプデ?」 「おう!ここがパソコン教室になったからな、パソコンに取り憑いて人を祟るようになったんだ。すげーだろ!」  一気に現実味がなくなった。  いや、ミシンが襲ってくる時点でだいぶ微妙ではあったのだが。 「パソコン室の中にひとーつ、呪われたパソコンがあるんだ」  侑李の隣の席に座り、デスクトップを撫でる少年。 「それを使っちまうとな。突然、何もしてないのに呪われたサイトが開くんだよ。真っ暗な画面に、ミシンの画像だけがぽつんとあるんだ。それを見てしまった奴は最後!ネットの世界に引きずり込まれて、ミシンで穴だらけにされて殺されるんだと!どーだ、怖いだろ!」 「お、おう」  確かに怖くないわけではない、が。 「見てしまった奴はみんな殺されるのに、なんでその情報がお前に伝わってるんですかね……」  思わず正論のツッコミをしてしまった。すると、鶴弥も気づいていなかったようで、きょとん、とした顔になる。 「……確かに!変だな!?」 「気づけよそれくらい!つか、その噂誰に聞いたんだよ!?」 「うちの愉快な方のジイちゃんだ!ビールがぶ飲みしながら教えてくれた!」 「完全に酔ってらっしゃるんですがそれは」
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