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「教室は毎日掃き掃除とかするけど、玄関の掃除は一週間に一度だな。つか、生徒と教師と職員あわせても人数が少ないから、毎日同じところ掃除してる余裕がないからなんだが」
鶴弥が頭をぽりぽりと掻く。
「玄関の掃除は、週に一度。木曜日に掃除する。俺達は自分の下駄箱と、それから下の方の掃き掃除の担当だな。靴箱の中は……あれ、掃除するっけか?」
「基本的に使ってないし、空の靴箱を掃除しろって言われてない気がするよ。地面には砂とか埃がたまるから、箒とちりとりで掃除するようにってなってるけど」
「じゃあ空の靴箱なら、ものを隠し放題なのか?」
「いや、空の靴箱は用務員さんが時々掃除してるって聞いたことがある。埃はつもってくし、ほっとくと綺麗じゃないから」
「そうなのか……」
鶴弥と侑李の会話を聞きつつ、あたしも考えてみることにする。用務員が掃除をするというのなら、空の靴箱に黄色のメモを隠すというのはちょっとばかり危険なような気がする。用務員さんに見つけられてしまったら、宝探しにならないだろう。
とすれば、靴箱を一つ一つ探すのは意味がないのではないか。
そもそもだ。この宝の地図が本当に“見つけて貰うこと”を前提に考えられているというのなら。靴箱を一つ一つ開けてしらみつぶしに探させるような無駄な真似をさせたいなどと思うものだろうか。
もう少し、簡単に見つけられる場所がありそうな気がする。そう、先生や用務員が触らないところ。それでいて、子供達ならば見つけられる可能性があるところといったらどこだろう?
「……なあ、侑李」
ふと、あたしは思い出して侑李に尋ねる。
「用務員さんってさ、掃除って……専用の掃除用具持ってよな?実質、うちの学校の清掃員もかねてるから、用務員室にクレンザーとかモップとかいろいろ持ってたような気がするというか」
「え?ま、まあ大体そうだったような?」
「とすると、玄関の掃除用具入れの掃除用具使うのって、あたしら生徒だけ、だよな?」
「!」
そうだ。子供達に宝探しをさせたいのなら、子供達だけが使う掃除用具入れに何かを隠すというのは悪い選択ではないはず。あたしはすたすたすた、と掃除用具入れの前に立った。そして、中に入っている箒やちりとりをどけてみる。
ここならば。そう、稚奈の身長でも、掃除用具入れの天井に手が届く。子供だけが触る場所で、かつ宝探しより前にバレにくそうな場所といえば。
「あった!」
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