<2・あんごう。>

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 文節で区切ってないから意味不明に見えるというだけで。 「これ、漢字に直せるのかな?」  同じことを侑李も思ったらしい。ベンチに座り、膝の上に紙を置くとスマホを取り出した。変換機能の助けを借りようというわけらしい。  あたしも同じことをしてみることにする。ちなみに、四人の中で携帯を持っていないのは稚奈だけであったため、あたしと鶴弥と侑李は三人とも普通にスマホを持っているのだった。まあ、ゲームで課金したりすると怒られるのは事実だが。 「野に煮すらにも、芋てらと血、基地と二階。基地の野良なみに後の名と二階ちすにも血とな?」 「能仁にすらにも居も寺と地、基地と二回。吉の野等並に後の菜と二回血素に餅とな?」 「盧に似すらに藻芋寺と地吉と煮会、吉の野良並に野血の南と二回血素に餅戸南?」  それぞれ適当に変換した後、互いにスマホの画面を見せあう。  結論。  さっぱり意味がわからないし、合っている気もまったくしない。 「単に漢字に直すってのは、なんか違ってそう」  あはははは、と侑李が乾いた声で笑う。 「ポイントは二つだよね。平仮名だけ、ってことに意味があるのかどうか。それから、二行に段替えされてるでしょ?これも、意味があることだと思うんだけど」 「文脈とか、違う話に切り替わってるとか?」 「じゃ、ないかなあ?」  うーん、とあたしは頭を掻いた。正直なところ、この中で一番勉強ができるのは中学受験を考えて常に勉強している侑李である。侑李が答えを見つけられないのなら、あたしと鶴弥のような脳筋に結果が出せるなどとは到底思えない。  でも、自分達の仲間である稚奈が学校に来なくなった理由。その謎を解く手がかりが、この手紙にはあるかもしれないのだ。ここで投げ出したら、きっと自分は一生後悔するだろう。  というわけで、別のアプローチから考えてみることにしようと決める。ズバリ、なんでこの紙が教室の、彼女の机に入っていたのか、だ。 「……この紙、封筒に入ってたんだよな」  引っかかっているのは、そこだ。 「普通さ。誰かに渡すつもりだったり、大事に保管するつもりだったり……そういう時に封筒って使うもの、だよな?なあ侑李、この手紙ってどんなかんじに稚奈の机に入ってたんだ?」
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