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<3・かいだん。>
放課後。普通の学校ならば、特別教室に入るためには職員室で鍵を貰ってくる必要があるらしい。そう、普通の学校であるならば。あたしたちはずーっとこのど田舎の“太刀魚南小学校”の生徒ではあるが、今はインターネットという便利なものもある。都会の小学生や中学生の話を聞く機会もあるし、動画やアニメなどの情報もあるのだ。
あたしにも、遠いところに住む友達というものはいる。その友達いわく、太刀魚南小学校はなんかもう、全体的に緩いらしい。
特に、放課後まで特別教室に入り浸れるあたりが。
「授業終わった後で、いちいち施錠したりとかしねーもんな、うちの学校」
鶴弥がしみじみとした声で言う。
「パソコン室も入り放題、ネットし放題。……小学校としていいのか、ソレ?」
「多少は制限かけてるみたいだよ、コレで。一部の掲示板系のサイトはアクセスできないようになってるんだってさ」
「ほへー」
さすが、文化系の侑李はよく知っている。職員室に許可を取りに行くわけでもなく、真っ直ぐにパソコン教室へ向かっていく。
パソコン教室は三階。空教室だらけの三階で数少ない、足を踏み入れることのある場所だと言える。そもそも、この太刀魚南小学校も、昔は生徒がたくさんいたのだ。六学年がすべて揃っていて、しかも一学年につき最大六クラスあったこともあるという。
それなら逆に教室が足らないような気がするのだが、昔は今使っている校舎の隣にもう一つ校舎があったそうなのだ。教室のみならず、第二音楽室や給食室もそっちの校舎にあっという。
残念ながら過疎化が進んで生徒数が激減し、そっちの校舎を使うこともなくなってしまい、老朽化もあいまって取り壊されてしまったようだが。
なお、現在は自分達の給食はセンターから取り寄せたものを食べていたりする。給食室で作っていた時はどんな味だったのだろうか。
「パソコン室と言えばあれだよなー。知ってるか神楽?」
パソコン室に入った途端、にやりと笑う鶴弥。
「ここ、七不思議があるんだぜ。学校の怪談ってやつだ!」
「え、うちの学校にそんな古めかしいものあったの?」
「むしろ、ボロい学校ほど残ってるだろ、こういうものは」
これは、聞かなきゃ駄目なやつか。内心であたしは冷や汗を掻いた。実のところ、昔からおばけの類が大の苦手なのである。理由は単純明快、物理攻撃が聞かないからだ。
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