婚約者の死

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婚約者の死

 沢口明剛の四十九日法要を終えたわたしは、ぐったりとしたまま、バスに乗った。  まだ、明剛の死を受け入れられないでいた。なぜ、彼は死ななければならなかったのか?そして、犯人が捕まって、墓前にその報告をしても、もやもやが残るのはなぜだろう?  明剛は何も、悪くはなかった。悪いのは明剛の部屋に忍び込んだ犯人だ。  わたしはずっと、明剛を誤解していた。交際して五年。そろそろ互いに落ち着こうと思っていた矢先、明剛に女の影があった。  明剛は大学時代はラガーマンで、選手権大会に出場するほどだった。学生時代から女性にモテた彼が浮気の一つや二つをすることは、想定済みな筈だ。それを今更、浮気だと糾弾して、喚くわたしも大人げないというか、度量が狭いと思う。  明剛とわたしは同じ教育関連事業の会社に在籍していた。わたしは庶務課で、彼は営業課だった。  会社の飲み会で意気投合したわたしたちは、すぐに関係を持った。わたしも明剛もフリーだったので、何の蟠りもなかった。  それから、わたしたちは社内でも公認のカップルになった。わたしは同僚や上司から、いつゴールインするのかと、顔を合わす度に訊かれた。
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