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時は過ぎ、私は中学生になった。夕暮れ時に公園へ向かうのは、変わらず私の大事な日課だった。
「やあ、今日は何か嬉しいことでもあったのかい」
「どうしてそう思うの」
「表情が明るいからね。君のそんな顔、僕は初めて見るよ」
「実はね、私、友達が出来たの」
雄一くんは一瞬、驚いた顔をしたあと、笑顔を見せた。
「そうか、良かったじゃないか」
私は嬉しくなって、彼に友達の話を沢山聞かせた。雄一くんは自分のことの様に喜んでくれた。
その日を境に公園へ行く回数がめっきり減った。初めて出来た友達と遊びに出掛けることが多くなったからだ。それでも三日に一度は公園に顔を出すようにしていた。雄一くんに会いたかったし、私に会うために公園へ出向く彼に悪い気がしたからだった。
また友達が出来た。初めの友達が連れてきた子だった。人間関係なんてきっかけ一つで変わるもので、私の周りにはいつの間にか沢山の友達がいた。毎日が充実するにつれ、私はあの公園に行かなくなった。
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