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公園へ行くよりも学校の友達と遊んでいる方が楽しかった。もちろん、雄一くんの事を忘れた事はなかったが、しばらく会わないでいると何となく気まずくなり、私は意識的に例の公園を避けるようになっていった。
それから年月は流れ、中学校を卒業した年、私は久し振りに公園へ出向いた。時刻は夕刻。空が燃える様に赤かったのを覚えている。
公園の入り口には華が添えてあった。缶ジュースやゲームなんかもあった。私は一抹の不安を覚えた。果たして不安は的中した。
近所に住むお婆さんがやって来て、いった。
「可哀想にねえ。まだ若かったのに」
「……何のことでしょう?」
「あら、あなたも手を合わしに来たんじゃなかったのかい」
お婆さんは残念そうに言うと、花に向かって合掌した。
「丁度今くらいの時間だったか、この公園にやって来る男の子がいたんだ。その子は身体が弱くてね、学校にもろくに通えなんだ。お日様が高い内は身体に障るから外にも出れんくて、それで夕方になるとほんの少しだけ、外へ出ていたんだ。憧れの学生服を着てなあ」
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