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辿り着いた未来
目を開けると、見知らぬ白い天井だった。頭、痛え…
「先生、意識、戻りました」
お母さんの声が聞こえて、そっちを首だけ動かして見る。頭、痛え…――立ち上がったお母さんのズボンの足が見えた。「先生」って呼ばれて近付いて来たのは、鹿尾先生じゃなく、白衣のお医者さんだった。
お医者さんに、名前を聞かれて、俺は答える。今日の日付を聞かれて、俺は答える。今まで何をやっていたかを聞かれて
「試合!どうなった?!」
叫んで俺は起き上がろうとして、母ちゃんの腕に止められた。頭、痛え…俺は、おとなしく寝た。枕じゃなくて、冷たいアイスノンの上に寝かされてた。
「試合、どうなった?」
俺は見上げて、お母さんの一瞬の表情で、わかってしまった。
「あんた、ブッ倒れて、後頭部から落ちて、脳震とう起こして、担架で運ばれたんだよ。ここ、体育館の医務室。」
うつむいたお母さんは、試合じゃなく、俺がどうなったかを、説明してくれる。
こういう時、目覚めて、顔を覗き込んでくれてるのは、晴であるべきじゃねえの?と思って、俺は笑ってしまって、目の端から涙がこぼれた。
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