第四話 満月――ワームムーン

1/2
前へ
/17ページ
次へ

第四話 満月――ワームムーン

 円香さんが運転をしながら、話をしてくれた。 なかなか優花が帰って来ないので心配したこと。 優花から連絡を受けて動物病院へ電話したこと。 動物病院へ向かおうとしたら、私の家の家政婦の田中さんから心配の電話が来たこと。 いろいろと話した結果、今日は円香さんの家に泊まることになったこと。 私の母親にも連絡して了承をもらったこと。 「円香さん、ありがとう。心配かけてごめんなさい。」 「ううん、いいの。気にしないで。  それより驚いたよ。翠月(みつき)ちゃんが、あんなに……。あんなに、真剣に、あの猫『飼いたい!』って。  やっぱり飼いたいの?」 円香さんは、自己主張する私の姿に驚いたようだ。 「はい、飼いたいです。初めてなんです。こんな気持ちになったの。」 私は素直な気持ちを二人に伝えた。 「あたしも、正直びっくりした。  翠月(みつき)が、『あれしたい!これしたい!』っていうの、聞いたことなかったから……。  ねぇ、お母さん。翠月(みつき)が猫飼えるように、翠月(みつき)のお母さんに、言ってあげてよ。ね!」  そんな話をしているうちに、車は円香さんの家に着いた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加