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第四話 満月――ワームムーン
円香さんが運転をしながら、話をしてくれた。
なかなか優花が帰って来ないので心配したこと。
優花から連絡を受けて動物病院へ電話したこと。
動物病院へ向かおうとしたら、私の家の家政婦の田中さんから心配の電話が来たこと。
いろいろと話した結果、今日は円香さんの家に泊まることになったこと。
私の母親にも連絡して了承をもらったこと。
「円香さん、ありがとう。心配かけてごめんなさい。」
「ううん、いいの。気にしないで。
それより驚いたよ。翠月ちゃんが、あんなに……。あんなに、真剣に、あの猫『飼いたい!』って。
やっぱり飼いたいの?」
円香さんは、自己主張する私の姿に驚いたようだ。
「はい、飼いたいです。初めてなんです。こんな気持ちになったの。」
私は素直な気持ちを二人に伝えた。
「あたしも、正直びっくりした。
翠月が、『あれしたい!これしたい!』っていうの、聞いたことなかったから……。
ねぇ、お母さん。翠月が猫飼えるように、翠月のお母さんに、言ってあげてよ。ね!」
そんな話をしているうちに、車は円香さんの家に着いた。
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