0 始

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 いまにして思えば、あのとき何処かに紛れ込んでしまったのかもしれない、とも感じられる。気がつくと深い霧雨に囲まれており、まわりの景色が揺れるようにどんどん曖昧になっていった感覚があった。ここではない何処か? そして、そこでもない何処か? あるいは、どこでもない何処か? けれども明確には思い出せない。あれはいつのことだったのだろう? そして、どの時点でのことだったのだろう?
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