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「虫、食べる?」
ドンと虫ケースを布由は天狗の傍に置いた。
置いた衝撃で、天狗の身体がわずかに浮いた。
学校の図書館で読んだ図鑑には、ペパーミントグリーンに黒の斑は烏の卵とあった。それで、生まれた時用にと布由はせっせせっせと畑でイモムシをたくさん取っておいたのだ。
「うげげ……」
少年は、昆虫ケースに入れられたウゾウゾと蠢く大量のイモムシに、嫌そうに目を背けた。
「食わんぞ、こんなもの。俺は親と同じものを食べる」
「同じもの……? じゃあ、ちょっと待ってて」
そういうと布由は畑に行き、でき始めた赤いトマトを2つもいできた。一つは少年に、一つは自分に。
「どうぞ」
と差し出すと、少年は自分の体と同じくらい大きさのトマトによじ登るとガブリと齧りついた。
「美味い!」
「良かったー。私もトマト好きなの」
そういうと、布由もトマトを齧った。
(好きなものも、親の影響受けるのかな?)
と布由は思った。
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