プロローグ

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プロローグ

 深夜2時。  都会のビルの屋上に隅に蠢く人影。右腕からは刃物で斬られ血が流れ出ている。傷口を左手で押さえ息を殺し気配を消す。どうやら追っ手は撒いた様だ。 「はぁ、はぁ、はぁ」  着ているシャツを引き裂き右腕に巻き締め上げる。応急の止血をして周りに人の気配がしない事を確認して、勢いを付けて隣のビルの屋上に飛び移り、非常階段を警戒しながら降りる。そのタイミングで一台の黒塗の車が横付けされその車に乗り込み、何事も無かったかの様に夜の街を走り去って行った。  車を運転している男がルームミラー越しに後部座席に座る人物を見る。 「あまり無茶はしないで下さいね、(れい)」 「分かってるって。ちょっと思ったより多かったんだよ」  男はスムーズな運転で歓楽街を出て車を走らせ、やがて周りに民家の無い森の中へと入っていた。舗装されていない道を登って行き、私有地の文字が書かれた看板の奥の道へと進む。しばらく進むと大きな立派な門が現れ周りは高い塀に覆われている。門の前で車を止めると自動で扉が開き、ゆっくりと中へと入って行く。
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