プロローグ

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「い、いってー。もう少し優しくしてよっ」 「傷は深く無い様で良かったですね」  テキパキと傷口に消毒を塗りガーゼで押さえ包帯を巻くこの男は相模(あつし)。インテリ系の冷静沈着な男で笑っている所は見た事が無い。一方、怪我をした男は(れい)。黒髪を肩まで伸ばし、人懐っこい綺麗な顔をしている少年だ。 「黎、怪我は大丈夫か?」  二人のやり取りをリビングのソファに座って聞いていた男が心配そうに声を掛ける。  この家の家主の倉田麻人(あさと)だ。 「へーき。俺はシャワー浴びてもう寝るよ。流石に疲れた…」 「黎、待って下さい」  淳は黎の腕の包帯をビニールで覆い濡れない様に巻いてやる。無表情で淡々としているため冷たそうに見えるが本当は優しい男なのだ。
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