保護という名のプレゼント

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保護という名のプレゼント

 「ハァ 今日も部活かぁ・・・」 放課後。 好きな人と帰ろうと頑張って誘ったのだが、部活という理由で断られてしまった。 「私ってほんとバカ」 もうすぐどの部活も夏の大会があるってのに。 (とにかく誰でもいいから、私と一緒に帰って・・・!) そう、私は恋愛の他にもう一つ悩みがある。 トットット トットット パシャ... 音からわかる、ストーカー被害。 最近大会で友達と帰っていないからか、私が一人で帰り始めた頃からこの調子だ。 (もうこれで何回目?) 警察にも相談した。でも悪戯(イタズラ)扱いされ追い出されてしまった。確かに証拠が無かったから・・・だけど。 どこにも相談する人がいない。親に相談したら余計めんどくなるだけ。 「お~い、何突っ立ってんのぉ!!」 「・・・私のこと?」 「お前以外に誰がいんだよ」 私の好きな人が後ろから走ってきた。相変わらず顔が良い。 「あれ、部活は?」 「なんか早く終わったんだよ。ごめんな、誘い断っちゃって。ここからでも一緒に帰ろーぜ」 あぁ、よかった。 「助かった」 「ん? 何かあったのか??」 「いや、実は・・・」 言おうとしたけど、もしかしたら心配かけちゃうよねって思った。 口を塞いだ。 「その顔、絶対なんかあっただろ。俺の家、来て。そこで話そう」 「う、うん!」 涙が出そうだった。この人なら、相談できるかも・・・! 「チッ」 後ろから、何か声が聞こえるような気がした。 ------  「ストーカー被害に遭ってる・・・だと」 好きな人の家は綺麗だった。必要な物以外は殆どない。ミニマリストとかいうやつだ。 「うん。友達が大会の練習とかで一緒に帰れなくてさ」 「だから、来てくれて嬉しかった」 うわっ! 何言ってんの私!! 「・・・俺、出来るだけ毎日一緒に帰れるようにするよ」 「え! いいよ、部活があるでしょ」 「大丈夫。今日顧問が風邪引いて、明日から休みなんだ」 「でも、」 「もっと俺を頼って」 そんなん言われたら何も言えないよ! 「じゃあ、明日からよろしくお願いします・・・」 「そんな改めなくていいって」 これで、ストーカーは居なくなるんじゃないかな。暗闇から光が見えたような気がした。 ------  「なぁ、写真は撮れた?」 「撮れた。後でプリントアウトしてくる」 「あと、これ」 渡されたのは、昨日の。 「結構綺麗に撮れただろ」 「ああ。明日もよろしく」 「え~ でもさっきで聞いたら二人で帰るって言ったじゃん。あんなの見たら、俺嫉妬する」 「ハハ まさか気づくとは思わなかったから。でも、のモンだから」 「抜け駆けすんなよ。したら」  初めは一週間程前。 俺はキミのことが好きだったんだ。片想いだった。 だけど運動部に所属したせいで、毎日毎日部活。しかも夏の大会があるからって、より活発になった。 だから俺は、一回サボったんだ。こんな毎日嫌だったし。 (もう先帰っちゃったかな・・・) もしかしたら話せるかも、そう思ってなるべく急ぎ足で走ってたら、 トットット パシャ キミが誰かにされてたんだ。 「あの」 多分コイツが犯人だな。そう思って声をかけ、振り返ったのは 「なんでお前がここに!?」 高1の時仲が良かった御曹司だった。 「ちょっと話そうか」 そうして御曹司のリムジンに乗せられ、キミについて沢山喋ったよ。 「俺はな、中三の時初めて話したんだ。駅への道を教えてくれて。その子は制服を着てたから、どこ中かな~って調べたら写真が載ってたから。」 そこからどんどん調べて、名前や住所は勿論知って・・・ 「写真に撮って記憶に残るようにしてんの。」 愛が重い。でもそれは、俺もかもしれない。 「なぁ、俺としないか?」 「俺は撮った写真を2枚プリントアウトして、1枚をお前にあげる。その代わり、俺がストーカーしてることは誰にも言わないこと」 「いいじゃん」 即答してた。生ではもう見てるし、話したりもしてるけど満足いかなかった。 (これで毎日見れるぞ・・・!) 自分でも思った。キモいなって。 でも止まらないんだよ。 制御が聞かないんだよ。 だから、キミに寄り付く奴らは全員血の海に落としてやった。 道路がバラ色になった。 (二人で守ってやるから) 安心しろ。だからこの関係を続けよーぜ。 ずっと苦しんでくれ♡♡ そしたら、俺に相談してくれるだろ♡♡ もうすぐ、キミの誕生日。俺達からは、っていうプレゼントを・・・♡♡
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