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裏の企み
「なぁ、お前って〇〇と付き合ってるんだよな?」
「うん。そうだけど」
部活の帰り。同じ部活のアイツにそんなことを言われた。
「〇〇って姉か妹いるか?」
「一人っ子で従姉妹もいないって言ってたけど・・・急にどうしたの?」
アイツが私の彼氏について聞くなんて珍しい。
「実は・・・」
タッタッタ
スマホを取り出し、画面をスクロールしている。
ピタッ
何か見つかったのか、スマホに憑りつかれていた手が止まった。
「これ、浮気してるんじゃねーの?」
見せてきたのは一枚の写真。
それは、彼氏が他の女性と買い物をしている光景だった。
「〇〇ともう一人女がいたからお前と二人でデートしてると思って声を掛けようとしたら・・・」
「 違う女だったんだ 」
「そんな・・・っ!!」
そんな人じゃないと思っていた。やっぱ私じゃダメだったのかな。
(私、何かしちゃった・・・?)
「ど、どうしよう」
もう一度写真を見る。私の彼氏が写ってる。その顔は、喜色を浮かべているように見えた。
「取り敢えず今日○○に連絡してみろ」
「う、ん・・・・・・」
「大丈夫。何かあったら俺に言えよ」
優しい眼差し。味方がいるだけでこんなに気持ちが変わってくるのか。
「ありがとう。少しだけ気持ち、軽くなった気がする」
勇気を出して、私は○○に連絡してみることにした。
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夜。空はもう真っ黒。
ブーブーブー
振動がする。スマホと私の心臓の振動が比例する。
落ち着いて。まだ決まった訳じゃないんだから。
カチャ
「もしもし」
『ん。こんな時間にどうしたんだ?』
「その、突然なんだけど・・・」
「浮気、してるよね?」
『え?何言ってんの』
「今送った写真を見て欲しい」
「もう一人の女の人、誰?」
『・・・何この写真。俺こんなとこで買い物した覚えないんだけど』
『あとこの人も知らないし』
「正直に言って」
『だから本当に知らないんだって』
信じたかった。でも言い方からして焦って誤魔化しているようにしか聞こえない。
「 ねぇ、私達別れよ 」
『ちょっと待っ』
「こんな彼女で、ごめんね」
ブーブーブー
強制的に電話を切った。
その瞬間、目に涙が溢れる。
(まだ私、好きなんだな)
でもこの事実は変えられない。無かったことには、出来ない。
「あ~あ」
これで私の恋愛も、終了か・・・
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「おい! 大丈夫だったか!?」
次の日。部活帰り、私はアイツの体に包み込まれていた。
昨日のことを思い出してしまい、また涙が溢れてくる。
アイツの肩が私の涙で濡れる。
「で、どうなったんだ?」
「えっと・・・」
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「そっか。じゃあもう○○のことは忘れろ」
「う、うん」
忘れたい。私だって、忘れたいけど・・・
「なぁ、突然かもだけど。実は俺、昔からお前のことが好きだったんだ」
「 だからその・・・付き合ってくれないか? 」
「・・・え? 私、昨日別れたばっかなんだけど」
「俺と付き合うのは、嫌?」
「別に嫌ってわけじゃ」
「じゃあ決まり! だな」
待って。考え直させて。
そう言いたかったが、私の口から出ない。
(○○の件でなんかモヤモヤしてたし)
ちょっとでも、晴らせるかな。
「二週間だけね」
私、めっちゃクズだな。元彼を忘れるために付き合う、なんて・・・
その条件で、私達は交際を始めたのだった。
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俺はずっと想いを寄せていた人がいた。
彼女は家が近所で、部活も一緒。だから帰りはいつも一緒だった。
でもそんなアイツは、他の男と付き合っている。
正直殺してやろうかと思ったが、俺にそんな技術なんて無いと思いやめた。
じゃあどうすればあの二人が離れるのか?
俺はパソコンしかいじれないし、運動神経はあまり良くない。
なら、得意のパソコンを使って離せばいい・・・♡
まず○○が一人で買い物している所を写真で撮り、そこにネットで適当に見つけた写真を上手く合成した。ちょっと背景も変え、二人で買い物しているかのような写真を作った。
「これを見せたら・・・どんな反応をするんだろ♡♡」
見事俺の予想通りの反応になり、『二週間』という条件付きで付き合うことができた。
勿論、二週間で終わらせる訳がない。
ジャラジャラ
もう準備は完璧だ。
「前の彼氏のことなんか、忘れてやる♡♡」
その次の日から、彼女がいなくなったとニュースで話題になったのは・・・♡
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