裏の企み

1/1

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

裏の企み

  「なぁ、お前って〇〇と付き合ってるんだよな?」 「うん。そうだけど」  部活の帰り。同じ部活のアイツにそんなことを言われた。 「〇〇って姉か妹いるか?」 「一人っ子で従姉妹(いとこ)もいないって言ってたけど・・・急にどうしたの?」 アイツが私の彼氏について聞くなんて珍しい。 「実は・・・」 タッタッタ  スマホを取り出し、画面をスクロールしている。 ピタッ 何か見つかったのか、スマホに憑りつかれていた手が止まった。 「これ、してるんじゃねーの?」 見せてきたのは一枚の写真。 それは、彼氏が他の女性と買い物をしている光景だった。 「〇〇ともう一人女がいたからお前と二人でデートしてると思って声を掛けようとしたら・・・」 「 違う女だったんだ 」 「そんな・・・っ!!」 そんな人じゃないと思っていた。やっぱ私じゃダメだったのかな。 (私、何かしちゃった・・・?) 「ど、どうしよう」 もう一度写真を見る。私の彼氏が写ってる。その顔は、喜色を浮かべているように見えた。 「取り敢えず今日○○に連絡してみろ」 「う、ん・・・・・・」 「大丈夫。何かあったら言えよ」 優しい眼差し。味方がいるだけでこんなに気持ちが変わってくるのか。 「ありがとう。少しだけ気持ち、軽くなった気がする」 勇気を出して、私は○○に連絡してみることにした。 ------  夜。空はもう真っ黒。 ブーブーブー 振動がする。スマホと私の心臓の振動が比例する。 落ち着いて。まだ決まった訳じゃないんだから。 カチャ 「もしもし」 『ん。こんな時間にどうしたんだ?』 「その、突然なんだけど・・・」 「浮気、してるよね?」 『え?何言ってんの』 「今送った写真を見て欲しい」 「もう一人の女の人、誰?」 『・・・何この写真。俺こんなとこで買い物した覚えないんだけど』 『あとこの人も知らないし』 「正直に言って」 『だから本当に知らないんだって』 信じたかった。でも言い方からして焦って誤魔化しているようにしか聞こえない。 「 ねぇ、私達別れよ 」 『ちょっと待っ』 「こんな彼女で、ごめんね」 ブーブーブー 強制的に電話を切った。 その瞬間、目に涙が溢れる。 (まだ私、好きなんだな) でもこの事実は変えられない。無かったことには、出来ない。 「あ~あ」 これで私の恋愛も、終了か・・・ ------ 「おい! 大丈夫だったか!?」 次の日。部活帰り、私はアイツの体に包み込まれていた。 昨日のことを思い出してしまい、また涙が溢れてくる。 アイツの肩が私の涙で濡れる。 「で、どうなったんだ?」 「えっと・・・」 ------ 「そっか。じゃあもう○○のことは忘れろ」 「う、うん」 忘れたい。私だって、忘れたいけど・・・ 「なぁ、突然かもだけど。実は俺、昔からお前のことが好きだったんだ」 「 だからその・・・付き合ってくれないか? 」 「・・・え? 私、昨日別れたばっかなんだけど」 「俺と付き合うのは、嫌?」 「別に嫌ってわけじゃ」 「じゃあ決まり! だな」 待って。考え直させて。 そう言いたかったが、私の口から出ない。 (○○の件でなんかモヤモヤしてたし) ちょっとでも、晴らせるかな。 「二週間だけね」 私、めっちゃクズだな。元彼を忘れるために付き合う、なんて・・・ その条件で、私達は交際を始めたのだった。 ------ 俺はずっと想いを寄せていた人がいた。 彼女は家が近所で、部活も一緒。だから帰りはいつも一緒だった。 でもそんなアイツは、と付き合っている。 正直殺してやろうかと思ったが、俺にそんな技術なんて無いと思いやめた。 じゃあどうすればあの二人が離れるのか? 俺はパソコンしかいじれないし、運動神経はあまり良くない。 なら、得意のパソコンを使って離せばいい・・・♡ まず○○が一人で買い物している所を写真で撮り、そこにネットで適当に見つけた写真を上手く合成した。ちょっと背景も変え、二人で買い物しているかのような写真を作った。 「これを見せたら・・・どんな反応をするんだろ♡♡」 見事俺の予想通りの反応になり、『二週間』という条件付きで付き合うことができた。 勿論、二週間で終わらせる訳がない。 ジャラジャラ もう準備は完璧だ。 「前の彼氏のことなんか、忘れてやる♡♡」 その次の日から、彼女がいなくなったとニュースで話題になったのは・・・♡
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加