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「…あっ、んん、い、痛い、っん割けるからああっ…やめっ」
「光琉、…我慢して」
「やめっ、んっ!や、克己 待ってっ!」
「やめない、…ほら、もう少しだから…息して」
「んん~っ!」
荒い息使いまで聞こえるって
これってそういう事だよね!?
光琉の部屋から声がしたし、
壁が薄いから聞こえてきたしで、
ドキドキする胸を押さえながら僕は、気付かれないようにそっと階段を降りて、リビングを通って玄関に鍵をかけ、足早に行き先を決めずに夢中で歩いた。
まだ心臓がバクバクしてる。
僕だって2人が何をしていたかぐらい察する事はできるし。2人は恋人同士だし。隣の席の九重さんがやたらと男同士のマンガとか小説を薦めてくるから読んで知識ぐらいはあるし。読まないと僕を主人公にした本を書くとか怖いことを言うから読んだし。
そんなことよりも、克己のお母さん今日は休みで家に居るから来たの?だからうちで?恋人同士だからまあ良いかもだけど。
だけど――…
…光琉あんなに痛がってたのに…。
まさか、今日が初めての行為だったのかな。いや、そんなの別に関係ないけど!
克己にちょっとだけ腹が立つ。
あんなに痛がってる光琉に無理やり…。
恋人って、そんなもんなのかな?
克己は、光琉を大切にしてくれてるんだと思ってた。
悲しくなって、僕は俯いて立ち止まった。
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