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――― 土曜日の朝。
兄の光琉(みつる)の提案で、僕は買い物をする為、久しぶりに大型ショッピングセンターに幼馴染みの村瀬 克己(むらせ かつみ)と一緒に居る。
正確に言うと、僕、柳井 理琉(やなぎい みちる)、と双子の兄 光琉の3人で買い物に来ていて、光琉は今洋服の試着中。
「ほんとごめんね、光琉がわがまま言って」
「いや、光琉のは別にいつものことだから慣れてる」
「……ふぅん……」
…そうか、慣れてるんだ…。
その言葉に思わず溜め息が出た。
克己と、いや3人で出かけるなんて、いつぶりだろう。
克己は僕たちの家の隣に住んでいる幼馴染。
僕たち3人はずっとお互いの家を行き来して一緒に遊んできた。
今年入学した高校も一緒。
だけど、克己と光琉のクラスは一緒。
僕は違うクラス。
そうなると自然と克己と光琉が
二人でいることが多くなっていった。
いや、もっと早い段階、中学の頃から2人で居る事が多かったような気がする。
2人ともウチじゃなくて克己の家で勉強することが多かったし。
多分、2人は付き合ってるんだろうなぁ…。
偏見なんてないのになぁ…。
僕に隠していたいのかなぁ…。
言ってくれても良いのに、ちょっと寂しいなぁ…。
だから、僕も邪魔をしないように少しずつ距離を置いてきた。
そのせいなのか、だんだんと僕と克己の2人だけで話をすることが無くなっていった。
慣れるまでかなり寂しかったなぁ。
でもたまには3人でゲームとかしてるし、僕だって同じクラスの友達と遊ぶことが多くなったし、2人から距離を置いても大丈夫になっていった。
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