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僕が泣き止むまで光琉は背中を擦ってくれた。克己は僕の目の前で心配そうに覗き込んでいる。 そして、僕が落ち着いてから光琉に問いかけられた。 「どうした?理琉、何があった?」 2人とも凄く心配してくれているのは良くわかっているんだけど……。 ―――でも、 本当の事なんて言えない…。 ―――だけど、 やっぱりはっきりさせたい。 俯いたまま視線を逸らして、怖くて、それでも手にグッと力を入れて、ドキドキしながら口を開く。 「あの…さ、…2人って…、付き合ってるんだよね?…恋人同士なんだよね?」 僕は、そうボソリと呟いた。 「「はぁ?!」」 2人から同時に大きな声を発せられ、僕は驚いて2人を見上げた。 ――えっ?何?気付かれてなかったと思ってた? 「理琉、待て…、えっと、誰と誰が?俺と誰が恋人だって?!」 普段 穏やかで、口数少ない克己が、焦って目を見開いて僕に詰め寄る。ちょっと怖い。 そんな克己を見ながら 「か、克己と光琉が…」 と、言うと克己は頭を抱えた。 ―――え?なんで? 今度は光琉が声を荒げた。 「はあ?何言ってんだよ?!有り得ないんだけどっ!付き合ってないし!どうして理琉は俺たちがそうだと思ったんだよ?」 ―――え…?ウソ…。だって恋人同士じゃないなら…。 「……あの…さ、…さっき何してたの…?」 光琉が小首を傾げ、キョトンとしながら 「ん?さっき?ストレッチの事?ストレッチがどうかした?」 「―――はあっ?」 今度は僕の口から大きな声が漏れ、目を見開いた。 光琉はお構いなしに続ける。 「学校祭の時、実行委員でダンス披露するのにさ、俺、体が固くて足上がんねーの。だから、克己にダンス披露が決まってからずっと背中を押して貰ってた。大分柔らかくなったぞ?見る?」 僕は何も言っていないのに、光琉は得意気に、まだまだ固い前屈を披露してくれた。
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