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すれ違う人達に何故か二度見されるけど、まあ、こんな格好だしね。 僕はキョロキョロしながら出店を見て歩いた。 ヨーヨー掬い、チョコバナナ、水鉄砲で紙を切り落とすやつもあってまるで縁日みたい。 「ねぇ、ねぇ、彼女1人?」 「一緒に回らない?」 僕の後ろから声がする。 僕は『彼女』ではないし、僕の事ではないと思いひたすら歩く。 そうしたら、 「ちょっと、無視しないでよ~。そこのメイドさ~ん」 「……っ!えっ?」 僕の腕を掴む2人連れの男。 「うわ~!めちゃくちゃ可愛いね!ご馳走するからさぁ」 「いや、結構です。離して下さい。それに僕 男です!」 「「えっ?!」」 一瞬驚きの顔になった男たち。 2人は顔を見合せてまた僕を見てニヤニヤしながら言ってきた。 「ならさ、確かめさせてよ?」 「えっ?」 2人に両腕を組まれた瞬間ドスの効いた声がした。 「何してんの?俺の連れなんだけど?先生呼ぼうか?」 後ろを振り向くと睨みつけてる恭がいた。 なんか以前もあったような…。 「ああ、ゴメンね、冗談だから」 そう言って僕の腕を離してそそくさと居なくなった。 「相変わらず あぶねーな?お前の後、着いてきて良かったよ」 「ありがとう、恭。助かった」 「しょうがないな。柳井兄たちの所まで行くんだろ?」 「うん」 「ではご一緒させて頂きます。 安心して下さいませ。お嬢様」 そう言って執事姿の恭が右手を胸に当てて一礼をした。その仕草がとてもサマになっているから皆に注目されて恥ずかしかった。
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