34

1/1
前へ
/46ページ
次へ

34

「ままー!オカマがいるー!」 「これ、けんちゃんダメよ!そんなこと言っちゃあ。…すみません、ほら、けんちゃんも」 「ごめんなしゃい」 「はは、大丈夫っす」 あ、顔が引きつってる。 メイド服を着たクラスでガタイの良い男、ヤマダは3人いる受け狙い要員で、頬はオカメほっぺたで金髪三つ編みのカツラを被って、黒のゴスロリ風に白のピラピラとしたエプロン。 白いカチューシャ、太い腕に白い腕飾り、スカートは逞しい足の膝上丈でレッグ飾りあり。 そんな姿だしね。 ドンマイ ヤマダ。 最終日だから一般公開で来てくれたお客様がかなりいる。 今日も頑張れと九重さんに言われている。 恭はさっきからお姉さん方からオプションの写真撮影で忙しい。 そういう僕も「あ~ん」したり、 「美味しくな~れ」を各テーブルでして写真撮影もしている。 「昨日も来たんだよぉ」 「ねぇ、本当に男?可愛い過ぎるんだけど」 「連絡先交換しよう?」 「彼氏いるの?」 「はーい!個人的なお話はお引き取り願いまーす!」 昨日もそうだけど、僕が話かけられるとそのたびにクラスのヤマダ率いるガタイの良い男子が、(今日は女装してる)強制退去させてる。 口の上手な女子も口(←)撃で追い払ってくれる。 「柳井くんの写真撮影ラストでーす!」 「はぁい」 忙しいけど楽しい。 もうそろそろ克己が来るかな。 今日は着替えないといけないし、これで僕の仕事は終わりかな。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

229人が本棚に入れています
本棚に追加